建物明渡請求事件の被告への送達が届かないことが多く、そのような場合は、現地調査をしなければなりません。
現地調査をしても夜逃げなのか、それとも居留守なのかを判別するうえで、夜逃げの可能性が高い場合には、警察官立ち合いのもと、大家さんと協力して安否確認をします。
現地調査のため先日被告の住所地にて現地調査をしてきました。
送達が不奏功
送達手続きを実施したが、裁判所に戻ってくる場合があります。
この場合、裁判所書記官の判断で、再送達、休日送達、夜間送達を実施するか、その他の送達手続きを実施します。
一般的なその他の送達手続きは、書留郵便に付する送達(付郵便送達)か公示送達です。
現地調査
書留郵便に付する送達も公示送達も、被告の知らないところで訴訟係属(送達が有効に届くこと)してしまう可能性が極めて高いです。
そのため、この二つの送達手続きを実施するためには、被告の裁判を受ける権利を保護するため、現地調査をします。
被告が居留守を使っているだけで、そこに間違いなく住んでいること、就業場所がわからないことや被告が夜逃げをしていて本当にどこにいるのかわからない等、
状況によって書留郵便に付する送達か公示送達の手続きを選択します。
書留郵便に付する送達(付郵便送達)
色んな送達方法を試した場合であって、送達できない場合の送達方法です(民事訴訟法107条)
発送時に訴訟係属(送達が有効に届くこと)します。(民事訴訟法107条3項)
発送時に訴訟係属するため、現実に受け取ることを要しません。
この制度によって裁判所からの書類を受け取らないということをしても、最終的には第一回期日が開かれます。
公示送達
公示送達は、一定の要件を満たした場合に、原則として申立てによってなされます。(民事訴訟法110条)
一定の要件とは主に
・当事者の住所、居所その他の送達をすべき場所が知れない場合
・付郵便送達をすることが出来ない場合
等です。
公示送達とは、裁判所の掲示場に、いつでも被告に送達書類を交付できますよーといったことを記載している紙を掲示します。
これを見て、被告が訴訟を提起されていることを気づくのは限りなくゼロに近いため、ある種の形式的な儀式です。
この公示送達は、原則として、掲示を始めた日から2週間を経過したときに効力を生じます。
これによって被告が知らないところで、裁判が始まります。
擬制自白
訴訟係属した場合に、被告が口頭弁論期日に出席せずに、答弁書等での反論もしない場合には、原告の主張を自白したものとみなします。(民事訴訟法159条)
つまり、民事訴訟を提起されたのに何もしないで無視していると、原告の勝訴判決(いわゆる欠席判決)となります。
このため、裁判所からの書類ややりとりを一切無視しても、時間稼ぎにしかなりません。
擬制自白の適用除外
公示送達による場合は、擬制自白については適用除外です。(民事訴訟法159条3項但し書き)
つまり、公示送達によって訴訟係属した場合には、裁判は有効に始まりますが、必ずしも原告勝訴判決になるわけではなく、原告側で主張立証しなければなりません。
とはいっても、被告の反論は一切ないですから、裁判の期日には提出した書証にて立証をして、第1回期日にて結審し、原告の主張通りの判決になることがほとんどです。
まとめ
裁判所から書類を受け取らなければ無敵といったことがないように、法定されています。
付郵便送達の場合でも、公示送達の場合でも同様です。
一刀両断の判決より、和解にて解決した方が、金銭的にも時間的にも精神的にも両当事者にとってメリットがあります。
裁判所からの書類は届いた時点で、専門家にご相談を。