賃料滞納、建物明渡請求訴訟のご依頼を定期的に受けている手前、賃料未払い等の紛争があった場合の予防策を講じていないご依頼者の方が多いです。
私が考える最良の予防策を提案します。
不動産投資
不動産投資とは、貸主と借主が賃貸借契約を締結して、借主は借りている不動産の対価として貸主に賃料を支払う、ミドルリスク、ミドルリターンの資産の運用方法です。
ミドルリスク
ミドルリスクとは、物件の空室リスク、固定資産税、都市計画税、管理費、修繕積立金等のランニングコストの負担、地震や災害におけるリスク、賃借人の賃料未払いのリスク、占有者がその不動産で亡くなる、不動産価格の下落等が考えられます。
リスクの軽減
このうち、最も簡単にリスクを軽減できるのは、賃料の未収についてです。
家賃保証会社の利用
私が貸主であれば、全ての物件につき、家賃保証会社の利用を必須とします。
家賃保証会社とは、その名のとおり、賃料の未払いがあった際に、借主に代わって家賃保証会社が貸主や管理会社に賃料を支払います。
請求したらすぐに支払いをしてくれる連帯保証人です。
保証会社によって異なりますが、未払いの賃料は当然として、更新料から原状回復費用、訴訟費用まで全て負担する保証会社もあります。
この保証会社の保証料については、通常借主が負担するもので、賃料総額の40%から100%といった保証会社が多いです。
この保証料の負担から賃貸借契約における最初の契約金が増加するため、入居者が少し決まりづらくなってしまいますが、そのデメリットを考慮しても保証会社を必須にすべきです。
収納代行業者の利用
さらに万全を期すため、収納代行業者を利用します。
この収納代行業者の利用については管理会社にメリットがあります。
収納代行業者とは、毎月一定の期日に、借主の賃料引落口座から、少しの手数料と賃料を自動的に引落しします。もし借主の口座に賃料分が預金されていなかったとしても、大家さんには自動的に賃料の支払いがあります。
預金がなかった場合は保証会社が最終的に立て替える形になります。
保証会社によっては収納代行のサービスも一緒にやっていることもあります。
収納代行業者を利用しない場合には、借主からの入金が確認出来なかった時点で、貸主ないし管理会社が保証会社に対し事故報告をしないと、保証会社は代わりに支払いをしてくれません。
未入金の確認と、代位弁済請求をするという事務手続きが大家さんの負担となります。ただし、不動産の管理を管理会社に任しているのであればこの手続きを大家さんの方ですることはありません。
収納代行業者の手数料は数百円から賃料総額の数%といった具合になります。
この費用は借主負担とする大家さん、管理会社もあれば貸主負担とするところもあります。
契約自由の原則から、借主負担とすることはなんら問題ありません。
これについても、借主に少しだけ、賃料以外の手数料が発生してしまうため、入居が決まりづらくなる可能性や継続して入居してもらえない可能が少しだけ高くなりますが、メリットの方が多いので、私が大家ないし管理会社であれば必ず導入します。
賃料の滞納が発生
上記を必須にすれば、仮に賃料の滞納が発生しても、貸主、管理会社は賃料の未払いを気にすることはありません。
基本的には、保証会社による督促を経て、それでも明け渡さない場合や賃料を支払わない場合は訴訟という形になります。
訴訟中の賃料も保証会社によっては保証されますので、貸主にとって賃料の未払いを気にする必要がなくなります。
まとめ
賃料で金融機関の毎月の借入金の返済をしている不動産オーナーさんはたくさんいらっしゃると思います。キャッシュフローの悪化は、不動産投資という事業の帰趨を左右するものになりますので参考になれば幸いです。